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賦存資源イベントレポ

「自然の物ばかりで幸せ」里山の冬支度~しめ縄づくり編~レポート

年の暮れの2022.12.26、
「里山先輩に学ぶ!里山の冬支度~しめ縄づくり編~」イベント開催いたしました。

旧額田地域は稲作が盛んであり、お米を収穫した後に残った稲藁を使って各家庭でしめ縄をつくり、神様を迎え入れる準備をします。
この地域では小さめのしめ縄をいくつもつくり、玄関や神棚だけでなく部屋、台所やトイレなどの水回りに飾るほか、車に飾ることもあります。

とはいえ里山でも若い方は縄ないの仕方を知らない方が多くなっており、技術や文化が薄れてきている実情もあります。

また昨年もりまちが設立されて、一番初めに取り掛かった「自然農法による稲の多年草化栽培」。これは“冬季湛水させ、自然に任せっきりにして稲を実らせる”という、高齢化する地域にとっても、昆虫などの生物が絶えていく地球にとっても、とても優しいお米の栽培法です。

今回は我々もりまちが事業のひとつとして取り組む【賦存資源の発掘・発信】として、こういった栽培の活動を知っていただきつつ、里山の貴重な「縄ない技術」を地域の賦存資源として残すため、また地域の里山先輩方々自体が「歩く百科事典」「パワースポット」「大切な宝」ですので、お正月を迎える冬支度について直接お話しを伺い、しめ縄づくりの手仕事を教えていただける機会を企画しました。

会場は中金町、お茶の栽培~販売までされている『ツバメと茶畑』さんの古民家。
元々はおじい様のお宅だそうで、今はお孫さんである石塚さやかさんが跡を継ぎ、古民家はお茶の作業をする時などに使っているとのこと。
今後はこの古民家を地域に根付くような場所として、もっと活かしていきたいとの想いと繋がり、お貸しいただきました。

しめ縄づくりを教えてくださるのは、里山先輩の山本カヅ子さんと清水朝子さん。
そして地域おこし協力隊の服部さよさんと共に、冬支度体験スタートです。

しめ縄づくりの基本となる「縄ない」。
実は初めて体験する人にとっては結構難しいもので…。地元宮崎地区で生まれ育った朝子さんは、小学生の頃に縄ないを教えてもらったというのだから、コツさえ掴んでしまえば!という所なのですが、参加された皆さまもかなり苦戦されておりました。技術の継承は蓄積と丹念ですね。
スイスイと縄をなっていく里山先輩の姿に、驚きと感嘆の声があがっていました。

それでも繰り返し練習すると何となく縄の形になってきます。上達が目に見えてわかるので、ノッてくると楽しさ倍増です。


通常の縄は右へねじりますが、しめ縄は左回りでねじる左ない。
古くから左側は「神」右側は「俗(日常)」と考えられているため、逆向きになうのがポイントです。
縄ないの技術が身につけば、生活において何かと使えて便利!覚えて損はありません。

また里山先輩カヅ子さんは藍染めをしたり手作りで色々なものを作ったり。日々お散歩しながら自然を眺めては、飾りになりそうな素材を集めていらっしゃるのですが、カヅ子さんの手に掛かれば、ただの小枝や雑草が素敵なオブジェになるんです。
皆さまアドバイスをいただきながら、思い思いにしめ飾りを付けて素敵に仕上げていらっしゃいました。

さて、ちょっと疲れてきた所で軽食タイム。
地元の食材をふんだんに盛り込んでいただいた『cafe_jiiva_green』さんのお弁当と炊き立てごはん。お米はもりまちが育て収穫したものだったのでドキドキしましたが、ふっくらほくほくのおにぎりは大盛況。普段は1杯も食べきらないというお子さまがおにぎり4つも完食してくれました。地元の主婦さんの炊き具合はさすが絶妙です!
菊芋や菜っ葉、みかんなどとってもおいしくいただきました。

また『ツバメと茶畑』さんの温かいお茶をいただきながら、さやかさんがお茶の小噺もしてくださいました。こちらでつくられるお茶は代々自然農法なんですって。
皆で井戸端会議ならぬ茶端会議しながら、焚火で暖を取りながら、休憩時間を楽しみました。

休憩後には斜め向かいのご近所さん『green.shop.teto』さんの多肉植物ハウスと子ヤギちゃん見学もさせていただきました。今回に合わせて初のハウス販売会をしてくださいましたが、お洒落でかわいい多肉植物がいっぱい!手軽なサイズで種類も豊富なので迷ってしまいます。店主さんもこの地で育った生粋の里山先輩。中山間地域の寒暖差が、実は多肉植物にとって好条件な環境なのだそう。お話しを伺いながら癒しのひと時でした。

最後に記念撮影してイベントは終了。
お持ち帰り用の新聞バッグは新聞屋さんを営む朝子さんのお手製です。すごい!

今回のイベントは地域の方から県外の方までご参加くださり、元々知り合いかどうかも老若男女も関係なく交流して繋がれたとっても素敵な機会でした。

自然の恵み豊かな里山地域に根付く伝統的な文化や暮らしを、今を生きる地域のヒトと街のヒトとが支え合いながら大切に活かすこと。ただ守るだけでなく“今”に合った形に育てていくことこそが文化の継承なのではないかと感じます。

古民家って落ち着く。藁に触れると癒される。地域のヒトと話すと懐かしい気持ちになる。旬の地物を食べるとより美味しく感じる。
日本人としての潜在的な感性に触れた時って、温かくて幸せな気持ちになりますよね。
里山の暮らしは、日本人皆の故郷なのではないかと思うのです。

もりまちが取り組む【賦存資源の発掘・発信】は、この故郷が美しく持続していくことに貢献するものと信じています。

お米づくりからしめ縄づくり…次は何に繋げようか。

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